政府・自治体支援制度
政府・自治体の起業支援制度を詳しく解説します。補助金・助成金、融資制度、税制優遇、専門家派遣、インキュベーター施設まで、公的支援を最大限活用して起業を成功させる方法について説明します。
公的支援制度の概要
公的支援制度の種類
支援形態別分類
| 支援形態 | 内容 | 返済義務 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| 補助金・助成金 | 事業資金の一部を支給 | なし | 後払い、審査あり | 創業補助金、ものづくり補助金 |
| 融資制度 | 低利・無担保での資金提供 | あり | 比較的借りやすい | 日本政策金融公庫、マル経融資 |
| 税制優遇 | 税金の軽減・免除 | なし | 条件満たせば自動適用 | エンジェル税制、研究開発税制 |
| 専門家支援 | 専門家派遣・相談 | なし | 知識・ノウハウ提供 | よろず支援拠点、専門家派遣 |
| 施設・設備 | インキュベーター等の提供 | 一部 | 安価で高機能な環境 | インキュベーション施設、研究室 |
| 情報・ネットワーク | 情報提供、マッチング | なし | 人脈・情報へのアクセス | 商談会、展示会出展支援 |
管轄機関別分類
- 国レベル:経済産業省、厚生労働省、文部科学省等
- 都道府県:産業振興センター、中小企業支援センター
- 市区町村:商工会議所、創業支援センター
- 独立行政法人:中小機構、NEDO、JST等
- 民間団体:商工会議所、業界団体
公的支援制度活用のメリット・デメリット
メリット
- 低コスト・無償:補助金・助成金は返済不要
- 信頼性向上:公的機関からの支援実績
- ネットワーク:支援機関からの人脈紹介
- 専門知識:経験豊富な専門家からの助言
- 継続支援:長期間にわたる支援関係
- 情報アクセス:政策・業界情報の早期入手
デメリット・注意点
- 手続きの複雑さ:申請書類の作成負担
- 時間のかかる審査:結果判明まで数ヶ月
- 厳格な使途制限:資金使途の制約
- 報告義務:定期的な進捗・成果報告
- 競争の激しさ:採択率の低い制度もある
- 後払いの原則:先に資金調達が必要
主要な補助金・助成金制度
国の主要な補助金制度
スタートアップ向け主要制度
| 制度名 | 対象 | 補助額 | 補助率 | 期間 |
|---|---|---|---|---|
| 創業助成事業 (東京都) |
都内での創業予定者・創業5年未満 | 50万~300万円 | 2/3以内 | 年2回募集 |
| ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 100万~1,000万円 | 1/2~2/3 | 年3-4回募集 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者 | 50万円 | 2/3 | 年4回募集 |
| IT導入補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 30万~450万円 | 1/2~3/4 | 年3-4回募集 |
| 事業再構築補助金 | ポストコロナの事業転換 | 100万~1億円 | 1/2~2/3 | 年5回募集 |
特別な分野・業界向け
- SBIR制度:技術開発型スタートアップ向け
- J-Startup:グローバル有望スタートアップ支援
- クールジャパン:日本文化・コンテンツ産業
- 農林水産業:6次産業化、農業ICT
- 地方創生:地域課題解決型事業
- 女性起業:女性起業家向け特別枠
自治体の支援制度
都道府県レベルの支援
| 自治体 | 主要制度名 | 特徴 | 補助額目安 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 創業助成事業、TOKYO STARTUP GATEWAY | 手厚い支援、ネットワーク充実 | 50万~300万円 |
| 大阪府 | 成長産業チャレンジ支援事業 | 成長産業に特化 | 100万~500万円 |
| 福岡県 | スタートアップ都市ふくおか | アジア進出支援 | 50万~200万円 |
| 神奈川県 | かながわ産業振興センター | 製造業・技術系に強い | 50万~300万円 |
市区町村レベルの支援
- 創業支援補助金:地域での創業を促進
- 家賃補助:店舗・事務所の家賃支援
- 設備投資補助:機械・設備導入の支援
- 雇用創出補助:地域雇用促進のための支援
- 空き店舗活用:商店街活性化と連動
- UIJターン支援:移住者の起業支援
融資制度・信用保証
日本政策金融公庫の起業家向け融資
主要な融資制度
| 制度名 | 対象 | 融資限度額 | 金利 | 返済期間 |
|---|---|---|---|---|
| 新創業融資制度 | 新規開業・開業後税務申告2期未満 | 3,000万円 | 2.2%~3.4% | 設備20年以内、運転7年以内 |
| 新規開業資金 | 新たに事業を始める方 | 7,200万円 | 1.11%~3.4% | 設備20年以内、運転7年以内 |
| 女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性・35歳未満・55歳以上 | 7,200万円 | 1.11%~3.4% | 設備20年以内、運転7年以内 |
| 再挑戦支援資金 | 廃業歴のある方の再起業 | 7,200万円 | 1.11%~3.4% | 設備20年以内、運転7年以内 |
融資審査のポイント
- 事業計画の妥当性:収支計画、市場分析の精度
- 経営者の能力:経験、知識、熱意
- 自己資金:総投資額の1/3以上が目安
- 返済能力:キャッシュフローの安定性
- 信用情報:個人・法人の信用履歴
- 担保・保証:リスクヘッジの手段
信用保証協会の保証制度
創業者向け保証制度
| 制度名 | 対象 | 保証限度額 | 保証料率 | 自己負担割合 |
|---|---|---|---|---|
| 創業等関連保証 | 事業開始2ヶ月前~5年未満 | 3,500万円 | 0.3%~1.9% | 0%(全額保証) |
| 創業関連保証 | 事業開始前・開始後5年未満 | 3,500万円 | 0.3%~1.9% | 0%(全額保証) |
| 経営力強化保証 | 認定経営革新等支援機関の支援 | 2億8,000万円 | 0.2%~1.8% | 20%(部分保証) |
マル経融資(商工会議所の推薦融資)
- 対象:商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者
- 融資限度額:2,000万円(運転1,500万円、設備1,500万円)
- 金利:1.11%(固定金利)
- 担保・保証人:原則不要
- 返済期間:運転資金7年、設備資金10年
- 特徴:無担保・無保証人、低金利
税制優遇制度
起業家・投資家向け税制優遇
エンジェル税制
| 優遇措置A | 優遇措置B |
|---|---|
| 投資時点の優遇 (投資額-2,000円)を総所得金額から控除 控除上限:総所得金額×40%または800万円の少ない方 |
売却時点の優遇 株式売却益から投資額を控除 他の株式譲渡益との損益通算が可能 |
ストックオプション税制
- 税制適格ストックオプション:付与時非課税、売却時申告分離課税(20.315%)
- 要件:権利行使価格が付与時株価以上、権利行使期間10年以内等
- メリット:従業員の所得税負担軽減、優秀な人材確保
研究開発税制
- 研究開発費総額に係る税額控除:研究開発費の6%-14%を法人税から控除
- 特別試験研究費:大学等との共同研究費用の25%-30%控除
- 中小企業技術基盤強化税制:中小企業は研究開発費の12%-17%控除
地域特別措置
国家戦略特区における優遇措置
| 特区名 | 対象分野 | 主な優遇措置 |
|---|---|---|
| 東京圏 | 国際ビジネス、都市再生 | 法人税20%減税、外国人創業活動促進 |
| 関西圏 | 医療、チャレンジ | 医療機器開発促進、規制緩和 |
| 福岡市 | 創業、雇用創出 | 外国人創業支援、規制緩和 |
地方創生特別措置
- 地方拠点強化税制:本社機能移転で法人税25%控除
- 企業版ふるさと納税:寄附額の最大90%が税額控除
- 地方創生応援税制:認定地方公共団体への寄附で税額控除
専門家派遣・相談支援
主要な専門家派遣制度
よろず支援拠点
- 概要:中小企業・小規模事業者の経営相談に総合的に対応
- 対象:中小企業・小規模事業者、創業予定者
- 費用:無料
- 支援内容:売上拡大、経営改善、創業支援等
- 特徴:チーム支援、専門家ネットワーク活用
- 設置:各都道府県に1拠点
中小企業基盤整備機構の専門家派遣
| 事業名 | 対象 | 支援内容 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 経営支援アドバイザー派遣 | 中小企業 | 経営課題解決支援 | 一部自己負担 |
| 復興支援アドバイザー派遣 | 被災地域事業者 | 事業再建支援 | 無料 |
| ハンズオン支援 | 地域中核企業 | 成長戦略策定・実行支援 | 一部自己負担 |
商工会議所・商工会の支援
- 経営指導員による相談:日常的な経営相談対応
- 専門家派遣:税理士、中小企業診断士等の派遣
- 創業塾・経営革新塾:集合研修による学習機会
- 事業計画策定支援:融資申請等の計画書作成支援
- 各種認定申請支援:経営革新計画等の申請支援
分野別専門支援
技術・研究開発支援
| 機関名 | 支援内容 | 対象分野 |
|---|---|---|
| NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構) | 技術開発・実証支援 | エネルギー、環境、産業技術 |
| JST(科学技術振興機構) | 研究開発・事業化支援 | 科学技術全般 |
| 産業技術総合研究所 | 技術相談・共同研究 | ライフサイエンス、IT、ナノテク等 |
国際展開支援
- JETRO:海外展開・貿易投資相談
- 国際協力機構(JICA):途上国展開支援
- 日本貿易振興協会:輸出促進、海外見本市
- 自治体国際化協会:地域国際化支援
知的財産支援
- 特許庁:知財戦略相談、出願支援
- 工業所有権情報・研修館:知財人材育成
- 発明協会:知財活用支援
- 知財総合支援窓口:各都道府県での相談窓口
関連ページ
人脈づくり・支援情報
起業に必要なネットワーク構築の基本
政府系資金調達
政府系金融機関からの資金調達方法
専門家ネットワーク構築
弁護士・会計士・コンサルタントとの関係作り
設立手続き
法人設立の具体的手順と必要書類
公的支援制度活用のチェックリスト
情報収集・制度理解
- □ 自分の事業に適用可能な制度を調査している
- □ 国・都道府県・市区町村各レベルの制度を把握している
- □ 申請時期・締切日程を確認している
- □ 申請要件・条件を詳細に確認している
- □ 必要書類・手続きを整理している
申請準備・実行
- □ 事業計画書を作成している
- □ 必要な許認可・届出を済ませている
- □ 専門家からのアドバイスを受けている
- □ 申請書類を適切に準備している
- □ 面接・プレゼンテーションの準備をしている
制度活用・管理
- □ 複数の制度を組み合わせて活用している
- □ 定期的な報告・手続きを実施している
- □ 支援機関との良好な関係を維持している
- □ 新たな制度情報を継続的に収集している
- □ 他の起業家との情報交換を行っている
次のステップ:専門家ネットワーク構築で、弁護士・会計士・コンサルタントとの関係構築方法を学びましょう。