開業時に必要な税務手続き

起業・開業時に税務署等で行う必要な手続きをまとめました。期限と提出先を確認して、手続き忘れを防ぎましょう。

個人事業主の税務手続き

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)

提出期限 開業から1ヶ月以内
提出先 納税地を所轄する税務署
手数料 無料

記載事項

  • 氏名・住所・生年月日
  • 職業・屋号
  • 事業の概要
  • 開業年月日
  • 従業員の有無

注意:屋号は必須ではありませんが、事業用口座開設時に必要になる場合があります。

青色申告承認申請書

提出期限 開業から2ヶ月以内(又は青色申告をしようとする年の3月15日まで)
提出先 納税地を所轄する税務署
手数料 無料

青色申告のメリット

  • 青色申告特別控除(最大65万円)
  • 純損失の繰越控除(3年間)
  • 青色事業専従者給与の必要経費算入
  • 少額減価償却資産の特例

青色事業専従者給与に関する届出書

提出期限 給与を支払おうとする年の3月15日まで
条件 配偶者・親族を事業に従事させる場合

専従者の要件

  • 15歳以上の家族・親族
  • 年間6ヶ月超事業に従事
  • 他に職業を持たない
  • 大学生等でない(その年12月31日現在)

法人設立時の税務手続き

設立日

法人設立登記

法務局での設立登記申請(設立日になる)

設立から2ヶ月以内

税務署への届出

法人設立届出書

  • 設立から2ヶ月以内
  • 登記事項証明書の写し添付
  • 定款の写し添付

青色申告の承認申請書

  • 設立から3ヶ月以内(又は第1期終了日のいずれか早い日)
  • 青色申告を選択する場合

給与支払事務所等の開設届出書

  • 給与支払開始から1ヶ月以内
  • 役員報酬・従業員給与を支払う場合

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

  • 従業員9人以下の場合
  • 源泉税を年2回にまとめて納付可能

都道府県・市区町村への届出

個人事業主の場合

都道府県税事務所

  • 個人事業税の申告(所得290万円超の場合)
  • 通常は確定申告で自動的に処理される

市区町村

  • 住民税の申告(確定申告で自動処理)
  • 特別な手続きは基本的に不要

法人の場合

都道府県税事務所

  • 法人設立届出書:設立から2ヶ月以内
  • 法人県民税・事業税の申告義務

市区町村

  • 法人設立届出書:設立から2ヶ月以内
  • 法人市民税の申告義務

注意:自治体によって書式や期限が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

消費税関連の手続き

消費税課税事業者選択届出書

提出が必要な場合

  • 設備投資等で還付を受けたい場合
  • 免税事業者でも課税事業者になりたい場合

提出期限

課税事業者になろうとする課税期間の開始日の前日まで

適格請求書発行事業者登録申請書

インボイス制度への対応

  • 適格請求書(インボイス)を発行する場合
  • 課税事業者になることが前提

登録申請

e-Taxまたは郵送で申請(登録通知まで約1ヶ月)

社会保険・労働保険の手続き

法人設立時の社会保険加入

健康保険・厚生年金保険

提出期限 設立から5日以内
提出先 年金事務所
必要書類 新規適用届、資格取得届

労働保険(労災・雇用保険)

対象 従業員を雇う場合
提出期限 雇用開始から10日以内
提出先 労働基準監督署、ハローワーク

個人事業主の場合

国民健康保険・国民年金

  • 会社を退職した場合は切替手続きが必要
  • 市区町村の窓口で手続き
  • 扶養していた家族の手続きも必要

従業員を雇う場合の労働保険

  • 労災保険:1人でも雇えば加入義務
  • 雇用保険:週20時間以上勤務等の条件あり
  • 労働基準監督署・ハローワークで手続き

手続きチェックリスト

個人事業主

税務署への届出

社会保険関連

法人設立

税務署への届出

地方自治体への届出

社会保険関連

よくある間違いと注意点

期限の見落とし

開業届は開業日から1ヶ月以内、青色申告承認申請は開業日から2ヶ月以内と期限が異なる

✅ カレンダーに期限をマークし、余裕をもって手続きを行う

必要書類の不備

法人の場合、登記事項証明書や定款の写しが必要だが、準備し忘れるケースが多い

✅ 事前に必要書類リストを作成し、法務局で謄本を取得しておく

社会保険手続きの遅れ

法人設立時の社会保険加入は5日以内と期限が短いが、見落としがち

✅ 設立登記と同時に年金事務所での手続きも予定に組み込む